公務員試験技術職(化学)勉強広場

りけイノシシの就活応援広場

技術系の公務員試験の勉強法を紹介します。職種は技術職(化学)です。一般教養は行政と技術の区分なしで、専門試験は希少な化学を専門とする方の参考になれば。

【技術系公務員化学】専門試験の勉強:NMRとIRの原理の簡単解説

技術系公務員(理系)化学区分で受験される方でNMRとIRを知らない方向けに、簡単にNMRとIRの原理を説明しています。

化学区分で受験される方のための、専門試験の全体の勉強法とNMR、IRについて出題される分析化学の勉強法については以下で紹介しています。

【関連記事】専門試験の勉強法:全体の流れ

【関連記事】分析化学の勉強法

NMR、IRのイラストと黒い背景にNMR、IRの白い文字

1.NMRとIRの読み取り問題は頻出

化学職の技術系公務員志望者が、専門試験で絶対に避けて通れない問題が、NMRもしくは、IRのスペクトル読み取り問題です。

ここでは、NMRやIRを授業等で習ったことのない方向けに、NMRとIRの原理について解説しています。ここでの解説はあくまで、簡単な解説です。正確な原理については、専門書を参考にして下さい。

2.NMR(核磁気共鳴)

NMRは核磁気共鳴(Nuclear Magnetic Resonance)の略で、主に化合物の構造決定に用いられる機器です。特に有機化学の分野で多く用いられています。(無機分野でも用いる場合はあります。)

NMRの簡単な原理を原子の古典モデルを用いて簡単に説明します。つまり、原子は「原子核の周りを、電子が回っているもの」と考えます。

原子核はその場で自転しています。原子核の自転は、核スピン角運動量を用いて記述されますが、同じ核スピン角運動量を持つ状態が、その核スピン運動量のz成分の数だけ存在します。これらの状態は同じエネルギーを持つため区別することは不可能です。こような状態を縮重しているといいます。(核スピン角運動量の量子数をⅠとすると、核スピン角運動量のz成分の数は(2Ⅰ+1)個です。)

※核スピン角運動量の値は同じでも、核スピン運動量のz成分の値は異なります。核スピン角運動量のz成分が異なっていても、x成分とy成分の値も異なるため、全体として核スピン角運動量が同じ値を取ることができます。

しかし、ここに外部から磁場を加えることで、外部磁場の磁束密度と、核スピン角運動量のz成分に比例したエネルギーが加わり、縮重が解けます。

すなわち、核スピン角運動量核スピンの角運動量のz成分の数だけ異なるエネルギーをもつことになり状態が分裂します。その後、この準位間に相当する電磁波が当たるとその電磁波を吸収します。この吸収量を電気的に測ることで分析を行っています。

NMR原理の説明補助
実際は、当てる電磁波のエネルギーを一定にしておいて、磁束密度(磁場)の大きさを変化させて測定を行っています。電磁波のエネルギーを吸収する磁束密度の値が、官能基の種類や、注目している原子核の周囲の状態によって変化するため、NMRにより化合物の構造決定が可能となります。

簡潔に説明したつもりですが、長くなってしまいました。NMRの説明は難しいです。

3.IR(赤外分光法)

IRは赤外分光法(Infrared Spectroscopy)の略です。中学や高校でも習ったと思いますが、固体であっても原子や分子は振動しています。一方で、電磁波(光)は、その波長に応じたエネルギーを持っています。すなわち、特定のエネルギーを持った電磁波を物質に照射することで、原子や分子の振動を引き起こすことが可能です。共有結合をしている物質の場合、結合間の振動エネルギーが赤外領域の光のエネルギー領域と一致します。そして、結合している原子、官能基によりこのエネルギーが異なるため、赤外領域のエネルギーを物質に照射した場合の、光の強度の減少を分析することで、官能基の決定ができます。

【関連記事】分析化学の勉強法へ戻る